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はじめに
エーオンクレジット・ソリューションズ責任者が語る市場動向と顧客動向
2023年第3四半期マーケット・インサイト・レポートへようこそ。本レポートでは、今年のこれまでの信用保険市場の変遷を考察し、2023年の残りの期間に関する主な動向を取り上げる。
世界経済の先行きは依然としてマイナスに注視されている。信用状況の逼迫を背景に、流動性の確保が困難になり、企業倒産件数が増加し、封じ込め策によるドミノ効果の可能性も想定される。予想通り、世界の取引信用保険会社は2023年に入ってから損害率が上昇したと報告している。保険会社による引受姿勢は依然として健全な状態で、市場の潜在的なエクスポージャー総額は歴史的な高水準が続いている。今後、経営破綻とそれに伴う保険事故が加速するにつれて、信用保険の料率と引受余力は、景気サイクルに迅速に適応していくことが予想される。
今年の年初には、ブラジルの小売企業であるロージャス・アメリカーナスの破綻により、市場では大規模な損失に見舞われた。銀行部門の信頼も、まずシリコンバレー銀行(SVB)の破綻、次いでUBSがクレディ・スイスを買収するという政府仲介による取引によって揺らいだ。このような出来事は、クレジット・ソリューション市場がダイナミックに適応しなければならない新たな現実の一端を反映すると同時に、企業や金融機関がポートフォリオのリスク軽減を図る中で、ソリューションや引受余力に対する需要の高まりを促すであろう。
弊社の2022年第4四半期クレジット・ソリューションズ・カンファレンスでは、顧客に明確且つ対策に繋げられる洞察をお届けするというコミットメントとして、専門家を結集し、主要な世界経済問題について議論を行った。前ユネスコ事務局長のイリーナ・ボコバ氏は、このカンファレンスで 「教育の継続は人材開発の基礎である。」と述べた。本レポートでは、銀行向けのクレジット・ソリューションと、現在の不安定な市場における主要な資金調達動向に関する議論を振り返っていきたい。
また、本号のソリューション・スポットライトでは、日本のコングロマリット特有のニーズ、特に全地域にまたがる投資動向について考察する。
最後に、弊社のクレジット・ソリューションズ・グローバル・プラクティスが、 グローバル・トレード・レビュー(GTR)の 2023年 「Leaders in Trade」アワード において「Best Trade Credit Insurance Broker(最優秀取引信用保険ブローカー)」に選ばれたことを喜んでお知らせする。GTR Leaders in Trade アワードは、貿易、コモディティ、サプライチェーン、輸出金融、フィンテック市場における卓越性を基準に世界をリードする取引金融サービス・プロバイダーの功績を称えるものである。今回の受賞は、弊社のグローバル・チームの献身的な貢献と熱意を表すものである。