4
与信限度額
- 世界の与信限度額承認率は2022年同期比で、74%前後と比較的横ばいのままである。
- 高金利環境に起因するデフォルト増加に銀行が備える中、資金調達へのアクセスは鈍化している。
- 与信限度額承認率は比較的穏やかな保険金支払状況を反映しているが、企業倒産が増加するにつれて、承認率は低下すると予想される。
- 弊社のチームは、付保されていないエクスポージャーを特定・管理し、より包括的な与信限度額を設定できるよう支援している。
地域別の動向
- 中南米の与信限度額承認率は2022年同期比で4%低下し、70%となった。高インフレと消費者心理の低下が地域全体の需要を抑制している。こうした状況は2023年まで続くと予想される。注目を集めた企業倒産は保険会社の信頼に影響を与え、高金利は引き続き資金調達の逆風となっている。
- 北米では、経済成長が鈍化する一方で、個人消費は2022年よりも緩やかなペースではあるが増加を続けている。特に住宅市場における投資は高金利が原因で鈍化している。与信限度額承認率は84%と高水準を維持している。
- アジア太平洋の与信限度額承認率は2022年同期比3%上昇し、80%となった。金融引き締めにもかかわらず、内需は今のところ堅調な水準を維持しているが、外需は減退が見られる。中国の経済再開により新たに景気に弾みがつき、同地域の新興国も堅調な成長が見込まれる。
- ヨーロッパ・中東・アフリカ全体の与信限度額承認率は72%と2022年同時期から低迷している。エネルギー価格の大幅な引き下げが経済に浸透し、企業の生産コストの引き下げにつながっている。ユーロ圏20カ国の平均成長率は1.1%と予想されている。これに対し、英国経済は0.25%の成長しか見込めない。
地域別の与信限度額承認率
出典:エーオン・トレーディングデスク・インサイト
セクター別の与信限度額承認率
出典:エーオン・トレーディングデスク・インサイト
セクター別の動向
- 自動車セクターの与信限度額承認率は2022年同期比で2%低下した。長期化するサプライチェーンの混乱と低い消費心理が成長を妨げている。
- 小売・卸売セクターの与信限度額承認率は2022年同期比で4%低下した。消費財需要の減少、高インフレ、賃借料が引き続き短期的な課題である一方、オンライン小売業と景気減速が長期的な課題となっている。
- 建設セクターの与信限度額承認率は当四半期も横ばいの64%であったが、前年同期比では1%低下した。建設は世界的な景気減速の影響を受けている主要セクターのひとつである。
- 農業関連セクターの与信限度額承認率は前年同期比で4%上昇した。ウクライナ紛争によるサプライチェーンの混乱は安定したとはいえ、食料価格の高騰はほとんどの経済にとって依然として重要な問題である。
- 鉄鋼・金属セクターの与信限度額承認率は前四半期比で3%上昇し、73%となった。パンデミック後の高い需要と利益率はバランスシートを強化したが、主要な供給セクターが需要鈍化の影響を感じ始めているため、若干の懸念が存在する。